ボヘミアン・ラプソティに思う
昨年の大ヒット映画「ボヘミアン・ラプソティ」。
普段映画の話をしない人、音楽の話をしない人もがみな口を揃えて大絶賛していて、
あまりに評判が良いのでiMAXシアターで観てみました。
(ここから先はネタバレにもなりますので、まだ観てない人は注意してください。)
・・・。
勧めてくれた皆さんが「泣いた!」と言っていたので、泣くつもりで行ったのに。
・・・。
な、泣けなませんでした💦
それどころかどんどん興ざめしていく自分。私はひねくれているのでしょうか。
一番気になったのは、時系列。
LIVE AIDでのコンサートシーンに向けてストーリーが進んでいくのですが、映画ではコンサートの前にフレディは、エイズになったことを知り、そしてバンドのメンバーにも打ち明けます。
しかし、事実はフレディがエイズ検査を受けたのが1986年であり、LIVE AIDは1985年です。このコンサートの時にはフレディ本人も自分がエイズである事を知らなかったはず。映画では、ステージで歌うフレディを観客や家族が涙ぐみながら見つめるカットが印象的に使われていました。
観客を無理矢理泣かせようとする手法です。
また、QUEENを必要以上に持ち上げすぎている点も気になりました。
私は1960年〜70年代の音楽が大好きなので、もちろんQUEENも好きなバンドの一つです。しかし「好きなバンドをランク付けして」と言われた場合、個人的にはQUEENは30位までに入るかどうかの存在です。1960年代から80年代にかけて、イギリスだけではなく、アメリカでもビックアーティスト&ビックヒット曲が目白押しの時代です。
LIVE AIDは、当時のイギリスとアイルランドの人気バンドが集結した音楽フェスティバルです。映画ではQUEENのステージにしか触れていませんが、既にピークを過ぎていたQUEENとヒットチャートを賑わしていたバンドではどちらの観客が盛り上がったかは明白なのではないでしょうか。
さんざん悪く書いてしまいましたが、フォローも少し。
スタジオでのレコーディングシーンが頻繁に出てきます。
「Another One Bites the Dust」の印象的なベースギターのリフだけを何度か繰り返した後、大音量で完成形の曲が流されます。しかし、それはわずか10秒程度で、次のシーンへと移ってしまいます。
「We Will Rock You」でも同様に、スタジオで足踏み(ドンドン)+手拍子(チャ)を繰り返した後に大音量で完成形の曲が流されます。そして短い時間で次のシーンへ。
これを何度か繰り返すことで、観客のフラストレーションをため込んでおいて、クライマックスの大観客を前にしたステージシーンで一気に曲を解放します。
この解放時の気持ちよさがこの映画の評価になっているように感じました。
なので、細かいことを考えずに観たら「素晴らしい映画」という評価になるのでしょう。
個人的なロック系のドキュメンタリー映画ベスト3は、この3本。
・Let It Be(The Beatles)
・Last Waltz(The Band)
・Doors(Doors)
近いうちにレビューを書きたいと思います。